むかしむかし、アストリアという国に、美しくて勇敢な姫君、セレナがいました。剣の訓練が得意で、誰よりも馬を速く走らせることができました。
ある日、隣の国の王子エドワードが、悪い魔法使いにさらわれたという知らせが届きました。
「王子を助けに行きましょう!」と家臣たちは言いましたが、魔法使いの城は恐ろしい呪いに守られており、誰も近づけませんでした。
すると、セレナはすっと立ち上がり、剣を手に取りました。
「私が助けに行くわ。」
家臣たちは驚きました。「お姫様がそんな危険なことを!」
しかし、セレナは迷いませんでした。
セレナは、白馬に乗って一人で旅に出ました。
まず、暗い森で巨大なオオカミに出会いました。「この先に進みたければ、勇気を見せよ!」
セレナはオオカミの目を見つめ、「王子を助けるためなら、どんな試練も乗り越えるわ」ときっぱり言いました。
オオカミはうなずき、「お前の勇気に敬意を表そう」と言って道を開けました。
次に、冷たい川を渡ろうとすると、水の精が現れました。「この川は、真実の心を持つ者しか渡れない。」
セレナは剣を置き、そっと川に手を入れました。「私は誰かを傷つけるために戦うのではない。助けるためにここにいるの。」
すると、水が穏やかに流れ、彼女を向こう岸へと導いてくれました。
ついに魔法使いの城にたどり着きました。中に入ると、王子エドワードが魔法の鎖で縛られていました。
「ようこそ、小娘よ。」暗闇から魔法使いが現れました。「王子を返してほしければ、勝負をしてもらおう。」
「勝負?」セレナは剣を構えました。
「そうだ。私と戦い、勝てば王子を解放しよう。」
魔法使いは炎を放ちましたが、セレナは素早くかわし、近づくと一気に剣を振りました!
魔法使いは驚き、魔法の杖を落としました。「くっ…!」
セレナは杖を拾い、思いきり折りました!
すると、魔法が解け、王子の鎖が消えました。
エドワードは目を見開きました。「お姫様が助けに来てくれるなんて…!」
セレナは微笑み、「困ったときは、お互いさまよ。」
二人は無事に王国へ帰り、国中の人々はセレナの勇気をたたえました。
エドワード王子は「あなたのような強くて賢い人とともに、国を守っていきたい」と言いました。
やがて二人は力を合わせて、どちらの国も幸せに治める素晴らしい王と女王になったのでした。
おしまい