むかしむかし、広い王国にアレクシスという勇敢な王子がいました。彼は剣術の名手で、正義感の強い心を持っていました。
ある日、隣の国の美しい姫君、エヴァが氷の怪物にさらわれたという知らせが届きました。怪物は北の氷山に住んでおり、彼女を氷の城に閉じ込めたのです。
「誰か助けに行け!」と国王が叫びましたが、恐ろしい怪物に立ち向かう勇者は誰もいませんでした。
「私が行きます!」
アレクシス王子は剣を手に取り、ひとりで旅に出ました。
王子は北へ向かいましたが、道のりは過酷でした。冷たい風が吹き荒れ、雪が降りしきる中、彼は前に進み続けました。
すると、道の途中で銀色の毛並みをした狼に出会いました。
「ここから先は危険だ。氷の怪物は強く、普通の剣では倒せぬぞ。」
王子は狼の目をじっと見つめ、「それでも姫を助けたい。何か方法はあるか?」と尋ねました。
狼はしばらく考えた後、王子に氷の洞窟への道を教えました。
「洞窟には伝説の炎の剣が眠っている。それがあれば怪物の魔法を打ち破れるはずだ。」
王子は狼にお礼を言い、洞窟へ向かいました。
氷の洞窟の奥には、赤く光る剣が突き刺さっていました。
「これが…炎の剣か!」
王子が剣を引き抜くと、剣は燃え上がり、冷たい洞窟を一瞬で温めました。
「この剣があれば…!」
王子は決意を新たにし、氷の怪物の城へと向かいました。
氷の城の中で、エヴァ姫は氷の鎖に縛られていました。
「王子…!」
そこへ、大きな影が現れました。
「ここへ来たか、愚かな人間よ…!」
氷の怪物が吠えると、冷たい風が吹き荒れ、王子の体を凍らせようとしました。しかし、炎の剣を握りしめると、その熱で氷が溶け、王子は一歩も引きませんでした。
「姫を解放しろ!」
王子は力強く叫び、剣を振りました。炎の剣の刃が怪物の氷の体に当たると、バリバリとひび割れが広がりました。
「ぐああああ!」
怪物は叫び、ついに砕け散りました。
王子は急いで姫のもとへ行き、氷の鎖を断ち切りました。
「もう大丈夫だ、エヴァ姫。」
姫は微笑み、王子の手を握りました。
王子と姫はお城へと帰り、国中の人々は王子の勇気をたたえました。
「王子さま、本当にありがとうございました。」
「いいえ、あなたが無事ならそれでいい。」
やがて二人は互いに惹かれ合い、強く支え合う素晴らしい王と王妃になったのでした。
おしまい